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将棋初心者向け

女流棋士と女性棋士の違いは何?できるだけわかりやすく解説!

女流棋士と女性棋士の違い

将棋を観ていると、「女流棋士」と「女性棋士」という言葉が出てきて、「これって何が違うんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

一字違いですが、実はこの2つはまったくの別物で、制度・なり方・棋力基準・活動の場、あらゆる面で大きな差があります。

この記事では、女流棋士と女性棋士の違いを6つの項目で丁寧に解説します。

読み終えた頃には、将棋通になってニュースを見るのがぐっと楽しくなるはず。ぜひ最後まで読んでみてください!

女流棋士と女性棋士は「制度からまったく別物」

ひと言でいうと、女流棋士は女性専用のプロ制度で認定された棋士で、女性棋士は男女共通の最難関ルート、奨励会を突破した女性のプロ棋士のことです。

この2つの制度は全くの別物です。

そして重要なポイントとして、2026年7月現在、「女性棋士」に該当する人物は歴史上ゼロになります。

ニュースや将棋中継でよく見かける女性のプロ棋士は全員「女流棋士」であり、「女性棋士」は制度としては存在するものの、現時点では該当者がいない——これが現状なんですね。

なぜ2つの言葉が存在するのか?将棋のプロ制度をわかりやすく解説

この違いを正しく理解するには、将棋界のプロ制度全体の仕組みを知っておく必要があります。順番に見ていきましょう。

女流棋士とは?女性専用の別枠プロ制度

女流棋士の制度は1974年に確立されました。

その目的は「将棋の普及に貢献できる女性に、活躍の場を提供すること」であり、一般の棋士制度とは別に設けられた独自の制度です。

女性にも将棋の普及を頑張ってもらおうという背景があったようですね。

女流棋士になるためのルートは「研修会」が主な方法です。

研修会は日本各地(北海道・東北・関東・東海・関西・九州の6地区)に設けられており、所定の成績を積んでB1クラスまで昇級することで「女流2級」として正式に認定されます。

この女流2級に必要な棋力は、棋士養成機関「奨励会」の6級程度とされています。

女流棋士の主な活動の場は「女流棋戦」で、白玲戦、女流名人戦、女流王将戦、女流王位戦などのタイトル戦があります。

女性棋士とは?超難関の奨励会ルート

「棋士(いわゆるプロ棋士)」になるためのルートは、女流棋士制度とはまったく別に存在します。

棋士になるには「奨励会」という棋士養成機関を通過しなければなりません。

奨励会は男女共通の制度で、性別による区別や制限は一切なく、完全な実力社会です。

6級から段階的に昇級・昇段を重ね、最終関門の「三段リーグ」を突破して四段に昇段した者だけが「棋士」として認められます。

この三段リーグは非常に狭き門で、何年も挑戦し続けても昇段できずに奨励会を退会せざるを得ない人も多い、将棋界最高峰の難関です。

この奨励会を経て四段以上に昇段した女性の棋士は、現時点では一人もいません。

現状では棋士は全員が男性であるため、「男性棋士」という言葉は使われず単に「棋士」と呼ばれています。

棋力基準の差はどのくらい?

2つの制度の最大の違いの一つが、求められる棋力のレベルです。

女流棋士に求められる棋力

女流棋士になるには研修会でB1クラスまで昇級すればよく、奨励会の6級程度の棋力が一つの目安とされています。

もちろん個人差はありますが、プロ棋士と比べると棋力基準の設定が大きく異なることは確かです。

女性棋士(棋士)に求められる棋力

棋士になるには奨励会の三段リーグを突破する必要があります。

三段リーグで争う棋力は、一般のアマチュアトップ選手でも太刀打ちが難しいレベルとも言われています。

女流棋士と男性棋士の公式戦での対戦成績を見ると、女流棋士の勝率は2割を少し超えるくらいですが、福間女流など一部の女流棋士の勝率は4割を超えています。

二人の女流による棋士への挑戦

ここからは、女流棋士と女性棋士の違いを実際のエピソードを通じてさらに深く理解していきましょう。

具体例① 西山朋佳女流の棋士編入試験

2024年、西山朋佳女流三冠(当時)が「棋士編入試験」に挑戦しました。

棋士編入試験とは、奨励会を経ずにプロ棋士(四段)になるための特別な試験制度です。

一般棋戦(男性棋士との公式対局)で一定以上の成績を残すことで受験資格が得られる仕組みになっており、西山さんはその条件をクリアして挑戦権を得たんですね。

この試験に合格すれば、史上初の「女性棋士」が誕生するところでしたが、残念ながら2勝3敗で不合格となりました。

具体例② 福間香奈女流の2度にわたる棋士編入試験

西山女流の挑戦よりも先に、福間香奈女流(旧姓・里見)が棋士編入試験への挑戦を経験しています。

福間さんは女流タイトルを多数獲得しており、女流棋士の中でもトップ中のトップに位置する実力者です。

その福間さんが2022年と2026年の2度にわたって棋士編入試験に挑みましたが、いずれも0勝3敗で合格には届きませんでした。

この事実は、女流棋士として最高レベルの実力を持つ選手が2度挑戦しても突破できないほど、棋士への壁が非常に高いことを如実に示しています。

一方で、女流棋士のトップ選手が何度でも「女性棋士」の扉を叩き続けるという姿勢は、2つの制度の間にある大きな壁をリアルに体現するとともに、その壁を越えようとする挑戦の尊さも伝えてくれますね。

福間さんの二度の挑戦は、将棋界に大きな議論と感動をもたらしたエピソードとして、多くのファンの記憶に刻まれています

具体例③ 活躍の場と争うタイトルがまったく異なる

女流棋士と棋士(女性棋士)では、戦う舞台も大きく異なります。

女流棋士が主に参加するのは「女流棋戦」で、次のようなタイトル戦があります。

  • 白玲戦
  • 女流名人戦
  • 女流王将戦
  • 女流王位戦
  • 女流王座戦
  • マイナビ女子オープン
  • 大山名人杯倉敷藤花戦
  • 清麗戦

これらは女性専用のタイトル戦で、女流棋士同士が頂点を目指して熱戦を繰り広げます。

一方、棋士(男性棋士・将来の女性棋士を含む)が争う「一般タイトル戦」には次のものがあります。

  • 竜王戦
  • 名人戦
  • 王位戦
  • 王座戦
  • 棋王戦
  • 棋聖戦
  • 叡王戦
  • 王将戦

一般タイトルは将棋界最高峰の舞台であり、藤井聡太竜王名人のように「八冠」を目指す戦いが繰り広げられる場所です。

女流棋士も一般棋戦に招待・出場する機会はありますが、その主戦場はあくまで女流棋戦です。

将棋界で女性が一般タイトルを争うためには「棋士」の資格が必要であり、それがいかに特別な称号かがここからもわかります。

「白玲5期」で棋士になれる新制度が誕生!その背景と議論を解説

2025年6月6日、日本将棋連盟の棋士総会において、将棋界に大きな変化をもたらす新制度が賛成多数で承認されました。

女流タイトル戦「白玲戦」でタイトルを通算5期獲得し、永世称号「クイーン白玲」を得た女流棋士は、棋士(四段)のフリークラスへ編入できる権利を得られるという内容です。

これにより、奨励会を経る三段リーグ突破や棋士編入試験という従来のルートに加え、女流棋士が棋士になるための新たな道が正式に開かれることになりました。

「白玲戦」とはどんなタイトル戦?

白玲戦は2021年に創設された、女流棋戦の中でもっとも新しいタイトル戦です。

2025年度からは優勝賞金が4,000万円に増額され、さらに特別賞1,000万円が加わり、総額5,000万円となりました。

将棋界トップの賞金額は竜王戦の4,400万円といわれているので、なんとこれを超えてきたことになります。めちゃめちゃ夢がありますね。

2025年時点での白玲歴代獲得者は西山朋佳女流(4期)と福間香奈女流(1期)の2名です。

西山女流は「棋士」に王手をかけています!

この制度が設けられた背景

日本将棋連盟がこの新制度を構想した背景には、「女流棋士のキャリア設計の多様化と将棋界全体の活性化」という狙いがあるとされています。

これまで女流棋士が棋士になるには、棋士編入試験か奨励会の三段リーグ突破というきわめて難易度の高い道しか存在しませんでした。

一方、白玲を5期通算獲得するには、女流棋界の頂点で長期間にわたって戦い続ける実力が必要であり、決して誰にでも達成できるものではありません。

この制度は、最強クラスの女流棋士に対して「奨励会以外の実績で棋士への道を開く」という、新しい発想の編入ルートといえます。

さまざまな意見や懸念点も

この新制度に対しては、将棋界の内外からさまざまな意見が集まっています。

賛成派からは、女性の活躍の場が広がること、将棋界全体の話題性・注目度が高まることへの期待が挙げられています。

一方、総会では藤井聡太竜王名人が「棋力の担保」についての問いかけを行ったことも報じられており、白玲5期という実績が一般棋戦で通用する棋力の証明として十分かどうかを問う声もありますね。

また、白玲戦の優勝賞金総額が5,000万円という高額であることから、はたして実際にこの権利を行使する女流が出てくるかどうかも注目されています。

棋士と女流棋士は兼任することもできますが、

  • 兼任する場合、体力的にも精神的にも大きな負担がのしかかる
  • 女流棋士をやめて棋士に専念する場合、白玲戦の5,000万円の権利を手放すことになる

といったことに悩むケースもでてくるのではないでしょうか。

さらに、今回の制度が女性棋士を増やすことを主眼にしているのか、白玲戦そのものの価値や注目度を高めることが主な目的なのかについても、さまざまな見方があるようです。

いずれにしても、女流棋士が棋士を目指せるルートが多様化したことは確かであり、将棋界の女性活躍という観点からは歴史的な一歩とも言えます。

非常に難しい問題ではあります。ただ、それだけ将棋界全体が危機感を持っていることの表れなのかもしれません。女性棋士が誕生するかもしれないのは本当に楽しみですね。

まとめ:女流棋士と女性棋士の違いを整理

この記事の内容を最後に整理します。

  • 女流棋士は女性専用のプロ制度で認定された棋士。研修会でB1クラス昇級が条件で、棋力は奨励会6級程度が目安。
  • 女性棋士は男女共通の奨励会を突破して四段以上に昇段した女性のこと。2026年7月現在、棋士になった女性はいない。
  • 棋力基準に大きな差があり、女流棋士と一般棋士の公式対局における女流側の勝率は2割程度(トップの女流は4割)。
  • 活動の場は女流棋士が「女流棋戦」、棋士は「一般棋戦」とまったく異なる。

「女流棋士」と「女性棋士」はたった一文字の違いですが、制度・棋力基準・活動の場すべてにおいて根本的に異なります。

ここを知っておくだけで、将棋のニュースや観戦がぐっと深く楽しめるようになると思います。

今後も将棋界の女性たちの活躍から目が離せません。引き続き注目していきましょう。

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