将棋コラム

将棋におけるチェスクロックとストップウォッチは何が違うの?

2020年4月1日

将棋盤の前で腕組みをする男性

将棋のプロ棋戦を観戦していると、記録係の人が両対局者がどのくらい持ち時間を消費したかを計り、記録していますよね。

この時、対局によって、チェスクロックを使用する場合とストップウォッチを使用する場合があります。

どちらも現在どのくらいの時間を消費したのか計るものですが、一体何が違うのか、なぜ両者を使い分けるのかを解説してみたいと思います。

チェスクロック方式とストップウォッチ方式の違い

チェスクロックとストップウォッチの違いは以下の通りです。

チェスクロック方式・・・秒単位も含めて消費時間を計算する
ストップウォッチ方式・・・1分未満(59秒まで)の消費時間は計算しない

どういうことかというと、たとえば、

1手目に32秒、3手目に1分20秒、5手目に55秒の時間をかけたとします。

合計の消費時間は、32秒+1分20秒+55秒=2分47秒のはずですよね。

ところが、実際のところの消費時間はどうなるかというと・・・

チェスクロック方式=2分47秒
ストップウォッチ方式=1分

となってしまうんですね。

ええっ?!という感じかもしれませんね。

チェスクロック方式だと、消費時間をそのまま足していくだけですが、ストップウォッチ方式は1分未満を切り捨てるので、1分未満の消費時間は計算に入れないことになります。

そのため、1手目の32秒、3手目の20秒、5手目の55秒は、0秒と同じになるんですね。

対局者の様子にも変化が

将棋盤の前で扇子を持って座る男性

棋士にとっても、今日の対局がチェスクロック方式なのかストップウォッチ方式なのかで、心持ちもだいぶ変わってきます。

ストップウォッチ方式なら、1分未満で指せば時間は消費されないので、ゆったり指すことができます。

心を落ち着かせ、集中力を高め、一手一手丁寧に指すことができるんですね。

一方でチェスクロック方式は1秒単位で持ち時間が消費されていくので、指し手が決まっている局面では、両対局者ともパッパッと指していきます。

重要な局面で困らないよう、少しでも時間を残しておきたいという配慮からですね。

ストップウォッチ方式は、のんびり田舎のスローライフ
チェスクロック方式は、あくせく都会のファーストライフ

という感じかもしれません(?)

持ち時間の早見表

チェスクロック方式の場合は机にチェスクロックが置かれているので、対局者もそれを見れば、現在の残り時間がどのくらいなのかを把握することができます。

一方でストップウォッチ形式の場合、対局者が残り時間を知ることができません。
(最近は、タブレットで残り時間を表示するケースもあります)

そのため、机の上に持ち時間の早見表を置いておくことがあります。

早見表

こんな感じの用紙です。

用紙には1~60までの数字が印字してあり、持ち時間が1時間を切ったら早見表を出して、60から順番に数字を消していくというものです。

余談ですが、デビューしたての藤井七段のインタビュー記事で、「早見表が出るのは怖い」というのを読んだことがあります。

秒読みについて

和室で、駒袋と駒箱が乗った将棋盤と駒台チェスクロック方式だと最終的に持ち時間が0になってしまいますが、プロ棋戦には、将棋ウォーズや将棋クエストで見られるような、持ち時間を使い切ったら負けというものはありません。

持ち時間を使い切ったら、1手60秒未満または30秒未満で指すというルールになっています。

もちろん秒読みになってからは、その時間内で指さなければ時間切れ負けになってしまいます。

ストップウォッチ方式の場合は、最後の1分に突入したら秒読みになります。

秒読みは、30秒の場合は、10秒・・・20秒、1、2、3、4、5、6、7、8、9と読んでいきます。

60秒の場合は、(30秒)・・・40秒・・・50秒、1、2、3、4、5、6、7、8、9と読んでいきます。
(30秒は読まないこともあります)

また、ストップウォッチ方式の場合、残り時間がわずかとなったら、記録係の人に秒を読んでもらうことができます。

棋士によって違いますが、持ち時間が10分を切ったら、「40秒・・・50秒」、または「50秒」と読んでもらうことが多いようです。

記録係の人に「50秒」と読んでもらうことで、次の手を指すか、それとももう1分消費するかを選択することができるわけですね。

1分未満で指せば時間は消費されないので、秒を読んでもらうことでギリギリまで時間を使うことができます。

終盤戦は持ち時間の重要度が増すので、できるだけ時間を有効に使いたいという表れですね。

どちらが多く採用されているのか?

初期配置の駒が並べられた将棋盤

将棋界では、ストップウォッチ形式の採用が主流でしたが、近年はチェスクロック方式の採用が増えてきています。

2016年度から、順位戦のB級2組以下の対局についてはチェスクロック方式が採用されるようになりました。

また、2019年度からは、王座戦の予選、決勝トーナメント、五番勝負全てにおいてチェスクロック方式が採用されるようになりました。

叡王戦や朝日オープンにおいても、全ての対局でチェスクロック方式が使われています。

チェスクロック方式が増えている理由としては、対局時間をスピーディーにすることで、記録係の負担を軽減したいという思惑があるようです。

記録係は大変そうだなと見ているだけで思います・・・

チェスクロック方式にするだけで、間違いなく総対局時間は減少します。

対局者にとっては、考慮時間に余裕があるストップウォッチ形式の方がありがたいという棋士が多いと思いますが、働き方改革の波が将棋界にも押し寄せているのかもしれませんね。

まとめ

ということで、チェスクロックとストップウォッチの違いについてまとめてみました。

記録方式一つとってもこれだけ違うのは、なかなか興味深い感じがしますね。

チェスクロック方式が増えてきているのは時代の流れなのかもしれません。

個人的にはスピーディーなチェスクロックの方が見ていてスピード感があっていいなと思ったりしますが、あなたはいかがでしょうか?

近年は、AbemaTVの企画でフィッシャールールというのも出てきましたね。
(5分切れ負け、1手指すごとに5秒加算)

叡王戦でも独自の持ち時間が設定されています。

もしかすると、今後も新しい持ち時間の形が誕生するかもしれませんね。

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