囲碁界では、仲邑菫(なかむらすみれ)初段が10歳でプロになるというビックリなニュースがありましたが、将棋界で小学生プロ棋士が誕生する可能性はあるでしょうか?
現在の将棋界のプロデビュー最年少記録は、藤井聡太七段の14歳2ヶ月。
もちろん、今までに小学生棋士が誕生した記録はありません。
そこで、将来的に将棋界で小学生がプロ棋士デビューすることはあるのかどうか、その可能性を探ってみました。
将棋界の小学生プロ棋士誕生の可能性
通常囲碁界では、棋士採用試験を受験して合格するとプロになれますが、中邑初段は、英才特別採用推薦棋士という制度を使い、特別枠としてプロ棋士になったというケースになります。
この制度の対象は原則小学生。タイトル保持者、ナショナルチーム関係者、審査会、常務理事会の承認が必要になります。
奨励会入会が必須
一方で、将棋界には囲碁界のような特別制度はありません。
プロになるためには、プロ養成機関の奨励会に入会する必要があります。
例外として、棋士編入試験がありますが、これは奨励会で夢敗れた人が再挑戦するための機会という印象です。
通常は奨励会を経てプロを目指します。
奨励会の入会試験は毎年8月に行われ、師匠推薦がある場合は6級~1級を、師匠推薦がない場合は6級を受験できます。
奨励会6級を受験するには、アマ三、四段の実力が必要です。
仮に一番下の6級で受験、合格した場合は、その後の成績で6級→5級→4級・・・と昇級していき、1級の後は、初段→二段→三段と昇段していきます。
そして、三段リーグで上位2名に入れば、晴れてプロ四段を名乗ることができます。
奨励会卒業にどのくらいかかる?
ちなみに、奨励会6級入会からプロ四段デビューまでの最短記録は、屋敷伸之九段の2年10ヶ月。
藤井聡太七段でも、奨励会卒業までに約4年かかっています。
どんなに早くても約3年かかると考えると、小学生棋士になるためには、遅くても小学3年生の8月の試験で合格する必要が出てきます。
もちろん、最短距離で四段まで駆け上がれるという保証はどこにもないので、本気で小学生棋士を目指すなら少しでも早く、小学2年生、1年生でも入会したいところです。
厳しい奨励会の現実
幼少で将棋を覚え、瞬く間にアマ有段者の実力を身につけ、小学校低学年でプロとなることを決断しなければならない。
これは、かなり高いハードルだと思います。
奨励会は本当に厳しい世界で、毎年プロになれる人数は基本4人と決まっています。
入会した後も、実力者がゴロゴロいる中で規定の成績を上げ続けなければ昇級、昇段することはできません。
成績が悪ければ、降級、降段もあります。
そして、半年に1回行われる三段リーグ戦で上位2名の成績を収めなければ、どんなに良い成績を残しても四段にはなれません。
また、奨励会には、21歳までに初段、26歳までに四段になれなければ強制退会という厳しいルールがあります(三段リーグに限り、勝ち越し続ければ29歳まで延長可能)。
この残酷な世界で生き抜いていく覚悟を小学校低学年で持つことができるのかどうか、という難しい問題もあります。
まとめ
今回の内容はあくまで小学生棋士が誕生するなら・・・という勝手なシミュレーションでした。
改めて検証してみると、現実的には小学生棋士の誕生はかなり難しそうですね。
とはいえ、昔も今も小学生で奨励会に入会する子供は多いですし、藤井七段も奨励会に入会したのは小学4年生。
そして、豊島名人は小学3年生で入会しています(!)
こうしてみると、絶対にあり得ないとは言い切れないというか、期待していいくらいの可能性はあるのかもしれません。