振り飛車といえば美濃囲い、美濃囲いといえば振り飛車というくらい、振り飛車党にとって美濃囲いは長年連れ添ったパートナーという感じですね。
その美濃囲いの天敵ともえいえる攻めが端攻めではないでしょうか?
これまでに何度も痛い目にあった・・・というケースは多いと思います。
そこで、今回の記事では、美濃囲いの端攻めの受け方について解説してみたいと思います。
端攻めを警戒すべきタイミング、端攻めのさまざまなパターンについて学ぶことができます。
もくじ
端攻めを警戒すべきタイミングは?
端攻めは終盤戦に出てくる攻め筋ですが、中盤戦で駒がぶつかり、お互いに持ち駒を持つようになったら、居飛車側の持ち駒に注意しておく必要があります。
居飛車の持ち駒が、一定の条件を満たしたら要注意です。
- 桂歩・・・まだ大丈夫
- 桂歩2枚(+銀や角)・・・要警戒
- 銀歩2枚・・・要警戒
居飛車側の持ち駒が桂馬または銀を持っていて、歩が2枚以上になったら要注意と覚えておきましょう。
攻められても受けきることができるかどうか、自身の持ち駒などを確認しておく必要があります。
美濃囲いにおける端攻めの受け方の具体例
第1図(△1五歩まで)
第1図で端攻めをしてきた場合を見てみます。
居飛車側の持ち駒は歩が一枚なので、この状況だと攻めは成立しません。
以下、▲同歩△1七歩▲同香△2五桂▲1六香(第2図)と逃げておいて、これ以上端からの攻めはうまくいきそうにありません。
第2図(▲1六香まで)
しかし、居飛車側の持ち駒に歩が2枚以上ある場合は要注意です。
同じように端から攻められた時(第3図)を見てみましょう。
第3図(△1五歩まで)
以下▲同歩△1七歩▲同香の時、今度は△1六歩と叩かれ、▲同香に△2四桂(第4図)と攻められます。
第4図(△2四桂まで)
振り飛車側は、無条件で△1六桂と跳ねられてしまうと一気に劣勢になってしまいます。
そのため、ここで▲2五銀と『桂先の銀定跡なり』で守る手を用意しておくことが大切です。
また、香車が持ち駒にある場合は、▲1九香で受かります。
ポイント
端攻めが来そうな時は、銀か香を持ち駒にしておきたいです。
銀も香も手に入りそうにない場合は、角(▲2五角)や金(▲2六金)で受けることになります。
が、角で受けるのはつらいので、安い駒で受けたいですね。
繰り返しになりますが、無条件で△1六桂を喰らってしまっては負けが近づくので、受けの手を用意しておくことが必要になります。
なお、△1七歩▲同香△1六歩▲同香△2四桂ではなく、△1七歩▲同香△2四桂(第5図)と先に桂馬を打つ手もあります。
第5図(△2四桂まで)
次に△1六歩が狙いです。
この場合も受け方は同様で、▲2五銀や▲1九香で受かります。
なお、居飛車側に歩が3枚以上ある場合は、△1七歩ではなく△1八歩から歩の連打が飛んでくる可能性があるので、さらに注意が必要となります。
さまざまな変化
ここから先は、
- △1七歩を放置した場合
- △1七歩を▲同玉と取った場合
- △1五歩を放置した場合
どうなるかを見ていきましょう。
△1七歩を放置するとどうなる?
少し戻って△1七歩(第6図)を放置するとどうなるでしょうか。
第6図(△1七歩まで)
仮に▲9一馬とすると、△1六桂(第7図)が厳しいです。
以下▲3九玉と逃げて、銀があると△2八銀と攻め込まれてしまいます。
△1七歩を▲同玉と取ると?
それでは、△1七歩を▲同玉(第8図)と取るとどうなるでしょうか。
第8図(▲1七同玉まで)
一例として、△1五香▲1六歩△同香▲同玉△2八銀(第9図)という攻めがあります。
第9図(△2八銀まで)
また、第8図では、△3九銀と打って玉の逃げ道をふさぎ、次に△1六歩の叩きを狙う手もあります。
というように、▲1七同玉と取った形は非常に危険なので、基本的に玉で取る手は考えないでいいと思います。
△1五歩を手抜いても大丈夫?
再掲第3図(△1五歩まで)
第3図に局面を戻して、△1五歩を手抜くことはできるでしょうか。
局面によっては、端歩を取らないケースもあると思います。
ただ、端歩を手抜くのはリスクが大きいです。
仮に▲9一馬として△1六歩と取り込まれ、▲1八歩(第10図)と受けた形を見てみましょう。
第10図(▲1八歩まで)
この形のデメリットとしては、
- 横からの攻めに対して玉の逃げ道がない
- △1七銀から殺到される恐れがある
- 相手玉の逃げ道が広い
といったことが挙げられます。
もちろん例外はありますが、デメリットが大きいので、よほどの勝算があるケースを除いて、△1五歩は基本的に取るのが正解です。
その他の端攻めパターン
端攻めは細かなバリエーションがあり、全てを受けきるのは容易ではありません。
たとえば第11図の場面。
第11図(△1七歩まで)
香車をつり上げて、△2四桂ではなく△1七歩と垂らしたところです。
これを▲同桂と取ると今度こそ△2四桂があります。
銀がない場合は要注意です。
△2四桂以外にも、△1五香▲同香△1六桂▲3九玉△1八飛(第12図)と強引に攻めてくる手もあります。
第12図(△1八飛まで)
そのため、第11図では、香車があれば▲1九香(第13図)と受けておくのが安全そうです。
第13図(▲1九香まで)
やはり、△1六桂の攻め筋をできるだけ喰らわないようにするのが得策です。
その他の端攻めとしては、△2五桂(第14図)と打ってくる手もありますね。
第14図(△2五桂まで)
放置するのは危険ですし、かといって▲1六香と逃げるのは△1七歩と垂らされるのが嫌みです。
そのため、ここでも▲1九香(第15図)と受けておくのが手堅いです。
第15図(▲1九香まで)
端は一回手がついてしまうと収拾がつかなくなりがちなので、できるだけ先受けしておくと安心ですね。
桂馬はないが銀がある場合
居飛車側の持ち駒に桂馬がなくても、銀がある場合は要注意です。
第16図(△1五歩まで)
第16図は、これまでと同様に端攻めをしてきた局面です。
以下▲同歩△1七歩▲同香△1六歩▲同香△2五銀(第17図)という攻め筋があります。
第17図(△2五銀まで)
香があれば▲1九香で受かるのでこれがベストです。
ない場合は、▲1七銀などで受けることになります。
まとめ
端攻めにはいろいろなバリエーションがありますが、どんな攻めが来たとしてもあらかじめ受け駒を用意しておけば安心です。
持っておきたい駒を重要度で表すと
香≧銀>金>角>飛
となります。
香車か銀がベストです。
角や飛車では受けに使いにくいですし、大駒は攻めに使いたいですね。
上記のどの駒も用意できないと、形勢は不利になる可能性が高いです。
そのため、端攻めが来てから慌てて考えても遅いので、端攻めが来る前に事前に準備しておくことが大切になります。
香車も銀も手に入りやすい駒ですが、攻めに使うだけでなく、端攻めが来た時の切り札としても考えておくと、勝率アップにつながるかもしれませんね。