アベマやニコニコ動画で、将棋のプロ棋戦が生中継されることも増えてきていますね。
プロ棋士の対局姿をリアルタイムで視聴していると、いろいろな発見があると思います。
その中でも、特に観る将の人は「なぜこんなに長考するのか」不思議に思うことがあるかもしれませんね。
そこで、今回の記事では、プロ棋士はなぜ長考するのか? その意味や最長記録、その他の疑問についてまとめてみました。
長考とは? なぜこんなに考えるのか?
長考とは、文字通り長く考えることですね。
プロ棋士は、盤面を見ながら、もしくは自分自身の頭の中に将棋盤を描き、その中で自由に駒を動かして先の展開を予測しています。
そして、
- 指し手の選択肢が複数あり、この一手が先々の展開に大きな影響を及ぼすと思われる局面
- どの手を選んでも形勢が悪くなりそうな局面
などのケースで長考すると考えられます。
1番目のケースは、選ぶ指し手によって、形勢が良くもなれば悪くもなる大きな分岐点であると考えられる局面です。
勝敗の分かれ目となりかねないので、どうしても慎重になります。
あらゆる可能性、先々の展開を読もうとするので、必然的に時間を消費することになるんですね。
2番目のケースでは、選択肢はいくつか思い浮かぶものの、どれも結果が芳しくないと思われる局面です。
そのため、さまざまな可能性を模索して、勝利を手繰り寄せる一手を探そうとします。
迷い、悩み、絶望感に立ち向かいながら、最善の一手を見つけようとするため、やはり時間を消費します。
観る側にとっては少し退屈に感じてしまうこともあるかもしれませんが(汗)、長考時の対局者の様子をチェックしたり、長考後の一手を予想したり、楽しみ方はいろいろありますね。
これまでの最長記録
現行の棋戦になって長考時間の最長記録は、第64期順位戦B級1組5回戦、青野照市九段と堀口一史座七段の対局になります。
この対局で、堀口七段が56手目に5時間24分という大長考をしています。
順位戦の持ち時間は6時間なので、持ち時間の大半を使ったことになります・・・!
結果も堀口七段の勝ちとなりました。
長考に関する疑問、質問
長考に関する疑問、質問をいくつかまとめてみました。
どのくらいの時間が長考?
その対局の持ち時間が何時間なのかにもよりますが、個人的な感覚では、30分を超えると長考といっていいと思います。
1時間を超えると大長考といっていいのではないでしょうか。
持ち時間の短い棋戦、たとえば朝日杯(持ち時間40分)なら、10分でも長考といえるでしょう。
長考中に外出してもいい?
以前は、持ち時間をどう使おうと対局者の自由、外出しても大丈夫でした。
ですが、今は不正防止の観点から、対局中の外出は認められていません。
違反すると罰金などの処分が科されることがあります。
時間制限はあるの?
長考に時間制限はありません。
特にルールというものもありませんし、気をつけなければいけないマナーもありません。
持ち時間内であれば、2時間でも3時間でもいくら考えてもOKです。
もちろん、一手指すのに何時間もかけては、その後の持ち時間がなくなってしまいます。
持ち時間が少なくなっても勝算があるのかどうか、どのくらいの時間を残すか、悩みながらの考慮になりますね。
「ここで正解を出さなければズルズルいってしまう」
という急所の局面では、惜しみなく持ち時間を投入することもあります。
『長考に好手なし』という格言
『長考に好手なし』という格言があるように、長く考えたからといって必ずしも良い手を導き出せるわけではないようです。
長考するというのは、どの手を指そうか迷ったり悩んだりしていることが多いからですね。
思考が堂々巡りになることもありますし、たくさん読んでみたものの結局よくわからないということもあるでしょう。
また、長考の末に、結局は誰もが目につく第一感の手を指すこともあります。
まとめ
ということで、長考にまつわるさまざまな事柄をまとめてみました。
今の将棋界は、序盤はなるべく時間を使わず、中終盤に時間を残そうとする傾向にありますね。
それでも、持ち時間の長い将棋では、30分、1時間くらいの長考は普通に出てきます。
棋士が長考に入ったら「大事な局面なんだな」と考えていいと思います。
その時は次の一手を予想してみるのもいいかもしれません。