将棋を指していて、
「俺って終盤が弱いなあ・・・」
「私って終盤がダメかも・・・」
と感じてしまう人は多いのではないかと思います。
終盤は一手のミスが勝ち負けに直結してしまうため、正確な読みが求められるわけですが、かといってアマチュアがプロのような正確な読みをするのは難しいですよね。
そこでこの記事では、相手の攻めと自分の攻めを比較して、どのような考え方をするのがいいかを解説していきたいと思います。
終盤の速度計算 問題
僕の実戦から。
後手が▽5八銀と打ってきた局面(問題図)です。
問題図(△5八銀まで)
先手勝勢の局面ですが、ここでの最善手は何でしょうか?
やってはいけないのが・・・
やってはいけないのが、▲5八同金寄と相手の面倒を見てしまうことです。
以下▽同歩成▲同金▽3九金(変化図1)と打たれた局面を、問題図と比べてみるとどうでしょうか。
変化図1(△3九金まで)
問題図では、王手がかかるまで▽4九銀不成→▽3八銀成と2手かかるのに対して、変化図1では▽3八金と1手で王手が掛かる形になっています。
受けなくていいところで受けてしまうと、結果的に相手の攻めが早くなってしまうんですね。
不必要に自玉を守ろうとすると結果的に相手の攻めが早くなってしまうことがあるのが、将棋の面白さでもあり難しさでもありますね。
再掲問題図(△5八銀まで)
問題図では、
「自分の玉に王手がかかるまで2手かかるから、それよりも早く王手を掛ける形に持っていけばOK」
という考え方をすれば、勝ちにつながりやすいと思います。
解答
問題図での正解手は▲4四桂(解答図)です。
解答図(▲4四桂まで)
『要の金を狙え』の格言通り、相手の守りの金に狙いを定める自然な一手ですね。
この手は、次に▲3二桂成と金を取りながら1手で王手を掛ける狙いがあります。
後手が△4九銀不成としてきてもまだ王手ではないので、▲3二桂成と王手で金を取れるため、相手の攻めよりも早いことがわかると思います。
この▲4四桂は結果的に詰めろだったんですが、限られた時間の中で詰めろと読み切るのは、級位者はもちろん有段者でも非常に難しいと思います。
ここで大切なのは、詰むかどうかを無理に読むことではなく、相手の攻めよりも早く王手が掛かるように迫ることができればOKということですね。
アバウトで大丈夫です(自玉が詰めろの場合は除きます)。
実戦では、▲4四桂以下、▽4九銀成▲3二桂成▽同玉から再度の▲4四桂(変化図2)で投了となりました。
変化図2(▲4四桂まで)
投了時点で、僕は詰みを読み切れていないのですが、一例として、△4三玉▲5二角△5四玉▲5五銀△5三玉▲6三金打△4二玉▲4三金までとなります。
これを無理に読み切る必要はないと思います。
まとめ
この記事でお伝えしたかったのは、終盤は相手の攻めよりも早い手で迫ることが大事ということです。
もう少し具体的には、あと何手で自玉に王手がかかるかを計算し、それよりも早く相手玉に迫る手を探すことが大事になります。
急所の局面でふと立ち止まって、「自分の玉に王手がかかるまで何手掛かるか?」そして「それよりも早く相手の王様に迫る手は何か?」を考えるのがいいと思います。