将棋の公式戦には、8つのタイトル戦と一般棋戦がありますが、この2つの違いは何なのかをまとめてみました。
観る将の方にとっては、もしかすると両者の違いがよくわからないということがあるかもしれません。
なお、タイトル戦と一般棋戦には具体的にどんなものがあるのかは、以下の記事を参照してください。持ち時間の違いについてまとめています。
将棋の8大タイトル戦と一般棋戦の持ち時間を一覧にしてみた
続きを見る
タイトル戦と一般棋戦の違い
将棋のタイトル戦と一般棋戦は一体何が違うのか?
一言でいうと、防衛戦があるかないかということになりそうです。
名人戦や竜王戦のタイトル戦は、1年に1回防衛戦があります。
予選、本戦を勝ち抜いた挑戦者と、タイトルホルダーが七番勝負、または五番勝負を繰り広げて、先に4勝、または3勝した方が勝者となり、以後1年間、タイトル保持者を名乗ることができます。
たとえば第60期王位戦を例にすると、豊島王位に挑戦した木村九段が4勝3敗でタイトルを奪取したため、以降1年間、『木村王位』を名乗ることができるようになるわけです。
一般棋戦では、防衛戦というものは存在せず、前回優勝者もまた1からトーナメントを勝ち抜くことになります。
また、当該棋戦での出場時を除いて、その棋戦の優勝名称を使うことはありません。
たとえば、第69回NHK杯テレビ将棋トーナメントで深浦九段が優勝しました。
第70回のNHK杯戦では『深浦NHK杯選手権者』と呼ばれますが、その他の棋戦ではこの呼称を使うことはありません。
複数冠保持している場合の呼び方
タイトルを複数冠保持している場合は、呼び方に関するルールが存在します。
条件 | 呼び名 |
竜王と名人の2つのタイトルを保持している場合 | 竜王名人 |
竜王名人と、その他のタイトルを1つ以上保持している場合 | 竜王名人 |
竜王と、名人を除くその他のタイトルを1つ以上保持している場合 | 竜王 |
名人と、竜王を除くその他のタイトルを1つ以上保持している場合 | 名人 |
竜王名人を除く2つのタイトルを保持している場合 | 二冠 |
竜王名人を除く3つのタイトルを保持している場合 | 三冠 |
竜王名人を除く4つのタイトルを保持している場合 | 四冠 |
竜王名人を除く5つのタイトルを保持している場合 | 五冠 |
竜王名人を除く6つのタイトルを保持している場合 | 六冠 |
少しややこしいですが、将棋連盟では、8つのタイトルの中でも、竜王と名人は別格の存在であるという考え方なのだと思います。
また、竜王と名人の序列はどうなっているのかというと、賞金額が将棋界最高の4,400万円である竜王が1位という位置づけのようです。
呼び名も竜王名人と竜王を先に記しています。
なお、そのタイトルを保持しているタイトル戦では、他のタイトルを持っていても、該当のタイトルのみで呼ばれることが多いです。
たとえば、棋聖戦においては、竜王や名人を持っていても、『○○棋聖』と呼ばれることが多いです。
また、羽生九段が当時の全タイトル7つを保持した時は七冠と呼ばれていたことから、現在の8つのタイトル全てを保持した場合は、例外的に八冠と呼ばれることが考えられます。
竜王名人を同時に保持したことのある棋士
ちなみに、これまでに竜王名人を同時に保持したことのある棋士は、
谷川浩司
羽生善治
森内俊之
豊島将之
の4棋士になります(敬称略)。
賞金に大きな違いはある?
竜王戦は、優勝賞金が4,400万円と公表されていますが、賞金額は基本的に公表されていないことが多いため、正確なところを比較することはできません。
基本的には、タイトル戦の方が優勝賞金は高い傾向にあります。
竜王戦の他、名人戦や叡王戦も賞金額は4桁を超えるといわれています。
一方で、棋聖戦や王将戦は低いのではないかといわれていますね。
将棋連盟の棋戦ページにおいて、タイトル戦の記載順がそのまま賞金額順であると考えられます。
一般棋戦ですが、朝日杯の優勝賞金は750万円となかなかの金額(以前は1,000万円でした)。
一般棋戦優勝でもかなりの賞金が手に入るので、お金が全てではないですが、棋士にとって大きなモチベーションになるのではないでしょうか。
まとめ
まずはタイトルを獲得するのが、一つの目標になっている棋士は多いと思います。
箔がつくといいますが、タイトルを獲得するのは大きな偉業といえますよね。
一方で、一般棋戦にはタイトル戦のような重みはないのかもしれませんが、いずれも一発勝負のトーナメント戦。
1度でも負ければ優勝できないことを考えると、やはり一般棋戦の優勝もすごいことに変わりはないですね。