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将棋コラム

西山朋佳奨励会三段は、女性初のプロ棋士四段になれるか

2020年4月27日

駒と駒箱が載った将棋盤と駒台

将棋界では、長い歴史の中、これまでに女性のプロ棋士が誕生したケースがありません。

ずっと男性オンリーの世界だったわけですが、ここにきてそれを打ち破ってくれるのではないか、期待できる女性が現れました。

西山朋佳(にしやまともか)奨励会三段です。

この記事では、西山朋佳三段の活躍ぶり、プロ四段の可能性について検証してみたいと思います。

追記
残念ですが、2021年4月1日に奨励会を退会することが発表されました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6444d311c709ad58a4d8a13c9da865eee734874c

本記事は、以前に掲載した考察記事になります。

女流棋士とプロ棋士の違い

将棋盤を斜めから撮ったところ

将棋界にあまり詳しくない人にとっては、

「あれ? 女性でプロの人はいるでしょ?」

と疑問に思うことがあるかもしれません。

確かに、女性で将棋のプロとして活躍されている棋士は数多くいるのですが、これは『女流棋士』という枠組みの話になるんですね。

将棋界には、以下2つのプロ制度があります。

  1. 棋士(男女の区別なく在籍できる)
  2. 女流棋士(女性のみ在籍できる)

これまでに活躍している女性は全員が女流棋士であり、いわゆる『棋士』として在籍した女性はまだ一人もいないのが実情です。

西山三段について

西山三段は奨励会に在籍しながら、女流棋士としても活躍。
二足のわらじで頑張っています。

得意戦法は中飛車や三間飛車。
終盤を得意としています。

振り飛車党ということで、個人的にも注目しています。

女流界には現在7つのタイトルがありますが、そのうちの3つ(女王、女流王座、女流王将)を保持。

奨励会員として参加できる棋戦がこの3つなので、もしも全ての棋戦に参加できれば、さらにタイトルは増えているかもしれませんね。

また、お姉さんが囲碁棋士なので、もしも昇段できれば、姉妹で囲碁と将棋のプロ棋士という、これまたすごい快挙になります。

三段リーグで14勝4敗の好成績

西山三段が大きな注目を浴びたのは、なんといっても第66回奨励会三段リーグ戦でしょう。

第66回奨励会三段リーグ戦 ※成績上位者
順位氏名成績
2服部慎一郎14勝4敗
4谷合廣紀14勝4敗
21西山朋佳14勝4敗

ここで、西山三段は14勝4敗という好成績を収めたものの、順位が上の服部三段、谷合三段の二人が昇段し、西山三段はおしくも次点に終わりました。

藤井二冠も三段リーグの成績は13勝5敗でしたし、過去には12勝6敗、11勝7敗で昇段したケースもありました。

普通だったら14勝4敗は昇段できる成績だけに、運が悪かったとしかいいようがないですね・・・

次点2回獲得でフリークラス編入も

西山三段は次点を1回取ったため、次回以降もう一度次点を取ると、フリークラス編入でプロになる権利を得ることができます。

フリークラスは、順位戦には参加できないもののその他の棋戦には参加ができます。
また、フリークラス編入後一定の成績を収めれば、順位戦にも参加することができます。

もちろん、今後の三段リーグで上位2名に入るのがベストですが、次点であってもプロになることはできるので、可能性が広がったといえますね。

竜王戦でも活躍

和室で、駒袋と駒箱が乗った将棋盤と駒台

西山三段は、プロ棋戦でも活躍しています。

たとえば、女流棋士も参加できる第33期竜王戦6組では、小林宏七段、田中寅彦九段、青野照市九段、長谷部浩平四段を撃破。

6組準決勝に駒を進め、あと1勝で5組昇級、さらにもう1勝して優勝すれば決勝トーナメントに進出という状況になりました。

残念ながら準決勝で敗退となりましたが、見事な勝ちっぷりでした。

また、第70回NHK杯プロ将棋トーナメントの女流枠をかけた出場者決定戦では、29手詰めを読み切って見事勝利しました。

この将棋は映像を観ていましたが、強いと思いましたし、終盤力は男性プロ棋士と比べても遜色ないと感じました。

残されたチャンス

西山三段は現在25歳(1995年6月27日生まれ)。

奨励会には、満26歳までに四段にならなければ退会という年齢制限があるため、残されたチャンスは多くありません。

  • 第68回奨励会三段リーグ戦(2020年10月~2021年3月)
  • 第69回奨励会三段リーグ戦(2021年4月~2021年9月)※期間中26歳に

西山三段が挑戦できる機会は基本あと2回。

ただし、第69回三段リーグで勝ち越すことができれば、次のリーグも参加することができます。

以後ずっと勝ち越しを続けることができれば、満29歳まで延長が可能です。

不安要素は?

初期配置の駒が並べられた将棋盤

西山三段のこれまでの三段リーグの成績を見てみると、

  • 第67回 7勝11敗
  • 第66回 14勝4敗
  • 第65回 7勝11敗
  • 第64回 5勝13敗
  • 第63回 11勝7敗
  • 第62回 7勝11敗
  • 第61回 9勝9敗
  • 第60回 6勝12敗
  • 第59回 10勝8敗

となっています。

これまで勝ち越すことができたのは3回ということで、決して安定した成績を残してきたわけではありません。

勝ち越しを収めた次のリーグ戦ではいずれも大きく負け越しています。

14勝4敗の成績を収め、期待が大きかった第67回は、7勝3敗からまさかの8連敗。不安定な戦いとなってしまいました。

7勝11敗の成績は過去2回ありますが、いずれも次のリーグ戦は勝ち越しているので、二度あることは三度あるを期待したいです。

気力、体調を整えて、次のリーグ戦も頑張ってほしいですね。

まとめ

女性初のプロ棋士四段誕生となれば、本当に大きな快挙ですし、将棋界が盛り上がることは間違いないでしょう。

それを見た女の子が「私もプロ棋士を目指す」というケースも増えるかもしれませんね。

また、第68回三段リーグでは、女性3人目のリーグ参加となる中七海三段にも注目です。

ワクワクしてきますね。

西山三段の復調なるか、はたまた中三段が一期抜けを果たすのか、二人の戦いぶりから目が離せません。

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