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将棋コラム

将棋界3連敗4連勝の歴史を紐解いてみた

2020年2月23日

将棋盤を斜めから撮ったところ

3連敗の後の4連勝。

絶体絶命、まさに崖っぷちからの大逆転劇は、見る者を魅了して熱狂の渦に巻き込みます。

古い話だと、1989年プロ野球日本シリーズの巨人VS近鉄で、巨人が3連敗後4連勝を果たして日本一になったことが有名かもしれませんね。

それでは将棋界ではどうなのか、3連敗4連勝の歴史を紐解いてみました。

結論をいうと、2020年現在、3連敗後の4連勝は将棋界で2例あります。

一体どのような内容だったのか、少しだけ詳しく見ていきましょう。

※文中のタイトル保持者、段位はいずれも当時のものになります。

七番勝負のタイトル戦

飛車先の歩を突くところ

七番勝負のタイトル戦

  • 名人戦(1940年~)
  • 竜王戦(1988年~)
  • 王将戦(1950年~)
  • 王位戦(1960年~)

3連敗4連勝を実現するには七番勝負であることが必須なわけですが、将棋界で現在8つあるタイトル戦のうち、七番勝負は上記4つ。

竜王戦は、前身の十段戦(1962年~)、九段戦(七番勝負は1956年~)も含めると、その歴史は古いです。

棋聖戦、王座戦、棋王戦、叡王戦は五番勝負となるので除外されます。

第21期竜王戦(2008年)

第21期竜王戦七番勝負 渡辺明竜王VS羽生善治名人

8大タイトルの中で最も古い歴史を持つ名人戦は、1935年~37年に第1期実力制名人戦が始まり、七番勝負が取り入れられたのは第2期(1940年)から。

それ以降、名人戦以外のタイトル戦でも3連敗4連勝の歴史はなかったのは意外といえますね。

個人同士の戦いで3連敗してしまうと、そこから盛り返すのは容易ではないということなのかもしれません。

しかし、その歴史が覆されたのが2008年の竜王戦でした。

この年の竜王戦は、僕自身もリアルタイムで観戦していました。

当時の渡辺明竜王は4連覇中。
永世竜王の称号獲得まであと1期としていました。

そして、満を持して挑戦者となったのが羽生善治名人。
羽生名人も竜王通算6期保持しており、同じくあと1期取れば永世竜王の資格を得ることができるという状況でした。

永世竜王の条件:連続5期 or 通算7期

羽生名人は、他の6つのタイトル(名人、王将、王位、棋聖、王座、棋王)で既に永世称号を手にしており、竜王の永世称号を獲得すれば、前人未踏の永世七冠を達成することでも大きな注目を集めていました。

叡王は、2017年に一般棋戦からタイトル戦に昇格された新しいタイトルなため除きます。

羽生名人3連勝

フランス・パリで開幕した第1局は、角換わりの将棋から渡辺竜王穴熊VS羽生名人右玉の戦いとなり、壮絶なねじり合いを制した羽生名人が先勝。

続く第2局の相矢倉、第3局の角換わりの将棋も羽生名人が制し3連勝。

当時は3連勝4連敗の記録はなかったため、羽生名人奪取は間違いないと思われていました。
渡辺竜王を除いては・・・

出典が何か忘れてしまいましたが、3連敗となり落ち込む渡辺竜王に、奥さんがハッパをかけて気持ちを持ち直したそうです。

渡辺竜王、打ち歩詰めで難を逃れる

大一番となった第4局。

戦型は相掛かり。
手厚い形で守りを固める羽生名人がと金を作ると、渡辺竜王は竜を作ることに成功。非常に難しい戦いが続きます。

終盤羽生名人優勢~勝勢の局面が多くありましたが、入玉模様の寄せにくい形で指し手を誤り、渡辺玉が打ち歩詰めの形で難を逃れたのは当時も相当話題になりました。

打ち歩詰めとは?

持ち駒の歩を打って相手玉を詰ますこと。反則で指した側の負けになる。
盤上の歩を突いて詰ますのはOK。

ただ、ソフト解析すると、打ち歩詰めの局面でもまだ羽生名人の優勢となっていました。
直接的な敗着は、131手目の▲9八香のようです。

当時は、今あるような強いソフトは存在していませんでした。

将棋界初の3連敗4連勝

勢いに乗った渡辺竜王は、第5局の相矢倉、第6局も急戦矢倉の戦いを制し逆王手。

3勝3敗のタイで迎えた第7局。
第6局に続いて後手番の渡辺竜王は急戦矢倉を選択。

激しい戦いが繰り広げられる中、羽生名人にチャンスはあったものの、最後は渡辺竜王の執念が勝りました。

将棋界初の3連敗の後の4連勝で竜王位を防衛。
連続5期で初代永世竜王の座に輝いたのは渡辺竜王でした。

2017年永世竜王を獲得、永世七冠を達成

その後、2017年に竜王戦の挑戦者となった羽生棋聖は、4勝1敗の成績で当時の渡辺竜王からタイトルを奪取。

永世竜王の資格を得ると同時に永世七冠を達成。
その後、国民栄誉賞を受賞したのは記憶に新しいところですね。

もしかすると永世七冠はもうダメなのかなと思うこともあったので、個人的にも嬉しかったです。

第50期王位戦(2009年)

第50期王位戦七番勝負 深浦康市王位VS木村一基八段

さて、将棋界3連敗4連勝の2例目は、意外にもすぐに訪れます。

竜王戦の大激戦の翌年の夏、第50期王位戦でそれはやってきました。

深浦康市王位に挑戦するのは木村一基八段。
4度目のタイトル挑戦で悲願の初タイトルを狙います。

第1局は千日手指し直し局の相矢倉戦を木村八段が制し、続く第2局の相掛かり、第3局の角換わりの将棋も勝ち3連勝、初タイトルに一気に王手をかけます。

しかし、第4局の相矢倉、第5局の角換わり、第6局の相矢倉の将棋を立て続けに落とし、いよいよ勝負は最終第7局にもつれこみます。

第7局は横歩取り。
横歩取りらしい大乱戦となります。

先手の深浦王位は9一に玉を潜り込み入玉に成功。
後は木村玉がどうなるかというところでしたが、最後は守り駒のない裸一貫の状態となって投了に追い込まれました。

木村八段からすると、まさかの3連勝4連敗で念願の初タイトル奪取はなりませんでした。

2019年悲願の初タイトル

その後、九段に昇段した木村九段は、7回目のタイトル挑戦となる第60期王位戦で、4勝3敗のフルセットの末に豊島王位からタイトル奪取に成功。悲願の初タイトルを手にします。

46歳3ヶ月での初タイトルは最年長記録でした。

3連勝4連敗したのも王位戦。
そして初タイトルも王位戦。

王位戦に縁があるということなのかもしれませんね。

解説名人としても人気の高い木村新王位。
喜びの涙を流したファンも多かったのではないでしょうか?(^^)

まとめ

いかがだったでしょうか。

3連敗4連勝は、達成した側からすればまさに地獄からの生還という感じかもしれませんが、3連勝4連敗した側からすると、代わりに地獄にたたき落とされた感じなのかもしれませんね。

まさに死闘。
観戦する側からすると、こんなにもハラハラドキドキすることはないですよね。

もしかすると、これからまた3連敗4連勝の歴史は誕生するかもしれませんが、人間同士が織り成す手に汗握る名勝負を期待したいです。

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