金子タカシさんの著書『凌ぎの手筋200』を実際に読んでみての感想レビューです。
本書では、将棋の守備力とそれに伴う精神力を鍛えることができます。
攻めは好きだけど守るのは苦手という人は多いと思いますが、そんな時に役立つ本だと思います。
ただし、対象の棋力は初段~四段レベルとなっていて、少し難しめの本になっています。
凌ぎの手筋200の書評・レビュー
本書では、次の一手形式で合計200問が用意されています。
パッと見では受けがないような絶体絶命の状態の問題ばかりです。
そういった状況で、詰み筋や必至を解除する力を養うことができます。
プロローグ
プロローグでは、終盤の速度計算についてどのように考えればいいか、金子さんがレクチャーしてくれます。
速度計算を間違えて終盤で逆転されてしまうということはありませんか?
そんな時に、プロローグの内容が参考になるかもしれませんね。
第1章 詰みを逃れる合駒テクニック
この章では全ての問題で王手が掛かっています。
詰み筋から逃れるために「逃げるのか」「合駒を使うのか」「合駒を使うなら何を使うのか」を考えていきます。
飛車、角、香で王手をされる場面は実戦でも数え切れないほど出てきますが、一見詰みと思える場面でも、使う合駒によってはギリギリしのげているケースもあるんですね。
ギリギリで逃れるテクニックと窮地から脱出するための忍耐力を養うことができます。
基本問題30問、応用問題40問が収録されています。
第2章 攻撃を考えた合駒テクニック
この章では、守りだけでなく攻めの手も含めてどの合駒が最善かを学ぶことができます。
実戦でも、ただ守っているだけではジリ貧になるだけで勝つことは難しいですよね。
特に合駒を使う時は、「この駒を使っても攻めが継続できるか」を考えることが大切になります。
守りと攻めの両方を考えなければならないので難易度は上がりますが、その分実戦的な実力を身につけることができるでしょう。
基本問題5問、応用問題11問が収録されています。
第3章 必死を逃れるしのぎテクニック
この章では、自玉の詰めろをいかにして振りほどくかを学ぶことができます。
自玉の全ての詰み筋を把握し、その全てに対応するというのは簡単ではないですが、解いていくことでしぶとさが身についてくるかもしれません。
また、章の冒頭では、受け方の手段がいくつか紹介されているので、これらの方法を頭に入れておくことで、実戦での受けの選択肢も増えるのではないでしょうか。
基本問題29問、応用問題65問が収録されています。
第4章 攻撃を考えたしのぎテクニック
この章では、守備面だけでなく攻撃面も含めた、総合的なしのぎのテクニックを学ぶことができます。
攻撃も含めたしのぎのテクニックとして、章の冒頭で6つの方法が提示されています。
これを頭にたたき込むだけでも、実戦での守備力が飛躍的に向上するかもしれませんね。
華麗な攻防手に思わず声が出てしまうかも?
基本問題3問、応用問題17問が収録されています。
まとめ
『凌ぎの手筋200』を読んで、思ったのはただ一言。
「難しい!」
正直なところ、読み進めるのに苦労しました。
個人的には級位者の方にはおすすめしません。
まじめに取り組もうとすると挫折する可能性が高いです。
下手をすると将棋が嫌いになってしまうかも・・・
もし取り組むとしたら、自力で解こうとするのではなく、答えを見て「こういう手筋、手段があるんだな」と、知識として蓄えていくのがいいんじゃないかなと思います。
本書の中には、実戦で役立ちそうなしのぎのテクニックがいくつも登場するので、そういった手筋を学ぶだけでも本書の価値はあるでしょう。