将棋にはさまざまなテクニックがありますが、一間龍（いっけんりゅう）は終盤で相手玉を効果的に追い詰めることができる、絶対に覚えておきたい手筋です。
一間龍を自在に操ることができれば、終盤力も飛躍的にアップするでしょう。
一間龍とは？
『一間』にはいくつかの意味がありますが、将棋においてはマス目一つ分という意味があります。
そして、一間龍は、相手の王様とこちらの龍が1マス離れた状態を指します。
一間龍は縦の場合と横の場合、両方あります。
この一間龍は、非常に強力な寄せの形となります。
強烈な破壊力
それでは、実際に一間龍の例を見ていきましょう。
第1図（▲5二同龍まで）
第1図は▲5二同龍と王手した局面。
後手は△4二香と合駒しますが、そこで▲4三金（第2図）と打つのが強烈な一手です。
第2図（▲4三金まで）
龍の利きがあるので、後手は△同香と取ることができません。
以下△2二玉▲4二龍までとなります。
今回のように、▲5二龍と一間龍で王手をして、相手が合駒をした際に▲4三金と打つ手は、ぜひとも覚えておきたい手筋です。
（金が持ち駒にない場合など）状況により、▲4三銀と打つ手や▲4一銀と打つ手も考えられます。
これらの手を頭に入れておき、局面によって自由自在に使いこなしていきましょう。
一間龍の実戦例
もうひとつ、一間龍の実戦例としてもう少し難しめの戦いを見ていきたいと思います。
四間飛車VS右四間飛車の一戦から終盤戦（便宜上先後逆）。
第3図（△4二同歩まで）
第3図は、▲4二桂成に△同歩とした局面です。
先手玉は危ない形ですが、ここから一気に後手玉を寄せきる手（即詰み）があります。
連続一間龍で相手玉を寄せきる
それでは、寄せ手順へと進みます。
第3図からは、いきなり▲5三角成（第4図）と切り込みます。
第4図（▲5三角成まで）
△同玉の一手に▲3三飛成（第5図）が狙いの一手です。
第5図（▲3三飛成まで）
△5四玉と逃げるのは▲5五金で詰み。
△5二玉も▲5三金△5一玉▲4二龍で詰みになります。
よって合駒をするのがベストです。
△4三桂（第6図）と合駒をしてみます。
第6図（△4三桂まで）
先手は▲4四金（第7図）と打ちます。
第7図（▲4四金まで）
（△6二玉は▲4二龍があるので）△5二玉と逃げますが、▲5四香と離して打ち、仕方のない△6二玉に▲4二龍（第8図）で二度目の一間龍が実現しました。
第8図（▲4二龍まで）
△5二歩と合駒をしますが、▲同香成△同金としてから▲5三金（第9図）とすべり込むのがポイント。
第9図（▲5三金まで）
以下△7二玉▲5二龍で詰みとなります。
第6図に戻って△4三桂ではなく、△4三角（第10図）と合駒した場合も見てみましょう。
第10図（△4三角まで）
同様に▲4四金と打っても詰みますが、▲5四香（第11図）と打つ手もあります。
第11図（▲5四香まで）
△同角とは取れず、△6二玉と逃げるのは▲7三金で詰むので、△同玉と取るしかありません。
玉を上におびき出してから▲4四金（第12図）と打ちます。
第12図（▲4四金まで）
以下△6五玉▲3五龍△5六玉▲4五龍で詰みとなります。
まとめ
ということで、龍の力を最大限に発揮できる一間龍の実戦例を見てみました。
一間龍で王手→合駒→その上に金や銀を打つ、という形はよく出てきますし、この形に持っていければ、相当相手玉を追い詰めることができます。