と金攻めは、実質歩による攻撃なので本当にいやらしいですよね。
じりじりと寄ってくる様子はまさにマムシのよう。非常に恐ろしい攻めです。
今回の記事では、攻める時はウハウハ、攻められた時はガクブル、そんなと金について、基礎的な知識と攻めの実戦例についてまとめてみました。
と金とは?
と金とは、歩が敵陣に入って裏返り金に化けたものですね。
自陣から一歩ずつ進んできた場合は、三段目に入った時にと金になることができます。
持ち駒の歩を打つ場合は、敵陣の二段目、三段目、四段目のいずれかに打ち、次の手番の時に裏返してと金になることができます。
と金はなぜ強い?
将棋は、取った駒を自分のものにできるというが大きな特徴ですが、と金はいくら自分の持ち駒にしたとしても歩にしかなりません。
これが大きなポイントで、攻められた時は金と同じ働きをされて苦しめられたのに、いざ自分の持ち駒にしたら歩に戻ってしまう・・・
これがと金攻めが強いといわれる理由です。
と金のある筋に歩を打つと二歩になる?
将棋のルールを覚えたてだと、と金のいる筋に歩を打つと二歩になるのか? 気になると思います。
結論をいうと、二歩にはなりません。
と金のいる筋に歩を打っても大丈夫なので、安心してバンバン(?)打っていきましょう。
と金を使った攻め筋
それでは、ここから先はと金攻めの一例を見ていきたいと思います。
第1図(△2七桂成まで)
第1図はちょっと極端な局面ですが、攻め手だけを見てしまうと▲3一角成としたくなりますね。
以下△同銀▲同龍としてしまうと、△2八角(第2図)で詰んでしまいます。
第2図(△2八角まで)
これは、相手に余計な駒を渡してしまったため、生じた詰み筋になります。
受けるなら▲3九金でもいいのですが・・・
攻めるなら▲4二歩(第3図)がおすすめの一手です。
第3図(▲4二歩まで)
次に▲4一歩成~▲3一とで、確実に攻めを続けることができますね。
と金は取られても歩にすぎないのが大きなポイント。
歩を渡しても先手玉には影響がありません。
後手には先手のと金攻めより早い攻めがなく、先手の勝勢といっていい局面です。
相手に駒を渡さずに攻めるにはどうすればいいか?
という時に、今回のと金攻めを思い出してみましょう。
第4図(△9五歩まで)
もう一つ、第4図でと金攻めを考えてみましょう。
持ち駒が歩しかないですが、これで充分。
▲6四歩(第5図)と垂らしてみましょう。
第5図(▲6四歩まで)
後手は、わかっていても次の▲6三歩成を受けることができません。
仮に△9六歩▲6三歩成△9七歩成(第6図)と攻め合ってきたとします。
第6図(△9七歩成まで)
お互いにと金を作りましたが、後手のと金は先手玉から遙か遠いので、先手は全く怖くありません。
一方で、先手のと金は後手玉の近く。
一例として、第6図から▲5三と△9八歩▲4二と△同金▲5三銀(第7図)と攻めていって先手勝勢の局面となります。
第7図(▲5三銀まで)
ちなみに、第4図に戻って、▲5四歩(第8図)も鋭い一手です。
第8図(▲5四歩まで)
放置すると▲5三歩成があるので△同歩と取りますが、▲5三歩(第9図)と垂らすのが狙いの一手。
第9図(▲5三歩まで)
ただ、今回は△4四角(第10図)という切り返しがあるので、ちょっと嫌な感じですね。
それでも、▲5四歩~▲5三歩は、ぜひとも覚えておきたい手筋になります。
と金の格言
と金に関する将棋の格言はいくつもあります。
それだけ、と金が強力な駒ということがいえますね。
5三のと金に負けなし
意味:5三の地点は敵の要所であり、そこにと金ができれば負けないということ。
ケースバイケースだと思いますが、5三にと金ができる展開になれば優位に持っていきやすい感じはします。
と金の遅早
意味:と金は1マスしか動けないので一見遅い攻めに見えるが、相手に渡っても歩であることなどを考慮すると、実は遅いようで早い攻めだということ。
相手に余計な駒を渡さないというのは、かなり重要だったりします。
と金は金と同じで金以上
意味:と金は相手に渡しても歩にしかならないことから、金よりも価値が高いということ。
やはり、相手に渡しても歩であるというのは大きいですね。
と金は引いて使え
意味:と金(金)の弱点は斜め下であることから、引いて使うことでその弱点を緩和できるので有効であるということ。
金は引く手に好手ありの格言と同様の意味になりますね。
まとめ
ということで、マムシにも例えられると金攻めの例と、格言などの情報をお伝えしました。
と金のメリットは、自分が攻めている時は金の働きをしてくれて、相手に渡ったら歩に戻るという点ですね。
相手に強い駒を渡さずに攻めることができるので、リスクがほとんどありません。
一方で、デメリットは手数がかかることですね。
ですので、相手に早い攻めがある場合は、と金が盤上に残ったまま負けてしまうこともあります。
と金攻めを決行する場合は、スピードで負けることはないかチェックしてみることも大切になってきます。