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将棋の格言から学ぶ

『玉は包むように寄せよ』縛りの一手を身につけよう

2020年2月14日

金で王手

終盤、相手玉に迫る時、つい王手王手で追い回してしまうことはありませんか?

ふと気がついたら、相手の王様は遙か彼方。「失敗した・・・」と後悔してしまうことも・・・

即詰みがある場合を除いて、王手で追いかけ回すよりも寄せの包囲網を張った方が良いことが多いです。

縛りの一手を身につけて、終盤力アップを目指していきましょう。

玉は包むように寄せよ

意味:相手の王様は一方から追うと、広い方へ逃がしてしまうので、包み込むように挟撃体制を取ると寄せやすくなる。

類義語に『王手は追う手』があります。

問題1

それでは、例を見てみましょう。
僕の実戦から。

第1図(△4二桂まで)
△4二桂までの局面

▲3二飛成に対して、△4二桂(第1図)と受けた局面。
先手勝勢の局面ですが、どのように指すのが最善でしょうか?

問題1の解答

第2図(▲7三金まで)
『玉は包むように寄せよ』を体現した局面(▲7三金まで)

正解は▲7三金(第2図)です(▲7二金でもOK)。

玉は包むように寄せよを体現する一手ですね。
これにより、相手の王様の逃げ道を封鎖することに成功しています。

この手は、次に▲6二金打までの詰めろです。

相手が△5一角と受けても、今度は▲4一銀△6一玉▲7二金打で詰んでしまいます。

挟撃の怖いところは、両サイドから攻めが成立するので、相手からするととても受けにくいんですね。

△5四歩と粘られたら?

第3図(△5四歩まで)
△5四歩までの局面

では、後手が△5四歩(第3図)と抵抗したらどう攻めればいいでしょうか?

▲4一銀や▲6二金打でも勝ちな局面ですが・・・

第4図(▲6二銀まで)
▲6二銀までの局面

一番綺麗な手は▲6二銀(第4図)と縛る一手です。

後手の狙いは△5三玉と逃げることなので、その逃げ道を封鎖する▲6二銀がピッタリですね。

先手は次に▲5三金と▲5一金の詰みを狙っていて、後手はこの両方を受ける手段がありません。

第4図は後手に受けがないので必至となりますね。

王手を続けるとどうなる?

問題図(第1図)に戻って、▲4一銀(第5図)と王手をするのはどうでしょうか?

第5図(▲4一銀まで)
▲4一銀までの局面

以下、△6二玉▲4二竜△7三玉(第6図)となります。

第6図(△7三玉まで)
△7三玉までの局面

なんだか一気に寄せにくくなった気がしますね(^^;)

局面に差がついているのでこれでも勝ちですが(一例として、▲6五桂打△8四玉▲8六金)、玉を広い方に逃がしているのでその分寄せにくくなります。

問題2

もう一つ、例題です。

第7図(△7六玉まで)
△7六玉までの局面

第7図は、相振り飛車の終盤戦です。

後手玉が入玉模様で、何とも寄せにくい形ですが、この場合の最善手はどんな手になるでしょうか?

ぜひ考えてみてください。

問題2の解答

第7図では、後手玉が8七に進入してしまうと寄せにくくなります。

そこで、▲7八金(第8図)と縛る手が正解になります。

第8図(▲7八金まで)
『玉は包むように寄せよ』を体現した局面(▲7八金まで)

この手は、次に▲6七金右(龍の横利きで取れない)や、▲6八桂、▲8八桂の詰めろを狙った手にもなっています。

この手により、上から角が、右側から龍が、下から金が包囲網を築く形になり、一気に後手玉を受けなしに追い込むことができるんですね。

後手に受ける手段はありません。

仮に第8図で△7七金と打っても、▲6七金右△同金▲8八桂で詰みです。

また、△9六銀として8五の地点に逃げ道を作っても、▲8八桂△8五玉▲8六歩△9五玉▲9六香で詰みになります。

待ち駒は卑怯?

もしかすると、「待ち駒は卑怯だ」と感じる人がいるかもしれません。

が、待ち駒は卑怯でも何でもなく、立派な戦術であり、高度な戦略です。

縛りの手はプロでも当たり前のように指しますし、強い人ほど『玉は包むように寄せよ』を具現化していると思います。

縛りの一手は高度なスキル。ぜひとも身につけていきましょう。

まとめ

実戦だと、慌ててしまったり、つい熱くなって連続王手をしてしまいがちですが、極力冷静になることが大事ですね。

即詰みを読めれば別ですが、そうでない場合は『王手は追う手』は避けて、左右または上下から包囲網を築くように寄せることをおすすめします。

実戦で、今回の問題のような縛りの一手を指せるようになると、勝率も上がってくると思います。

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