さまざまな三間飛車の変化を幅広くまとめた良書『久保の石田流』の紹介レビュー記事です。
2011年発刊のため情報は少し古いですが、石田流に関する幅広い情報を学べるので、
「石田流の入門書を読みたい」
「石田流のいろいろな変化を知っておきたい」
という場合におすすめの棋書です。
もくじ
久保の石田流の内容
第1章 石田流の入り口
石田流の超序盤の変化を紹介しています。
避けて通れない△4五角問題にも触れています。
まずはこの章で石田流に慣れていきましょう。
第2章 升田式石田流の基礎知識
▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩でスタートする升田式石田流について解説しています。
▲7七桂型、▲7七銀型、▲7四歩の攻めなどについて詳細な変化が載っています。
第3章 早石田定跡
序盤早々、▲7四歩と突っかける早石田定跡について解説されています。
早石田定跡は先手が良くなるというわけではないものの、互角くらいには戦えるとされています。
定跡を知らないと簡単につぶされるので、採用しても面白いのかもしれませんね。
第4章 鈴木流急戦
居玉のまま▲7四歩と仕掛けるのが鈴木流急戦。
△6五角に▲5六角と合わせる手に対して、3通りの変化を解説しています。
激しい変化ですが、実戦例も交えて詳しく紹介されています。
第5章 久保流急戦
早石田定跡と同じ出だしで▲7四歩と突く久保流急戦。
△同歩に▲同飛と取るのが久保九段の工夫です。
升田幸三賞受賞のきっかけとなった新手▲7五飛も紹介されています。
第6章 その他の石田流
この章では、
- 後手棒金戦法
- 後手左美濃
- 後手居飛車穴熊
- 4手目△5四歩
に対する対策が紹介されています。
どれも参考になる変化ばかりですね。
第7章 後手の石田流
▲7六歩△3四歩▲2六歩△3五歩とするとどうなるかが解説されています。
また、一時期流行した2手目△3二飛戦法についても詳しく変化が載っています。
△3二飛戦法に大きな影響を与えたとされる深浦王位VS羽生名人の王位戦についても触れています。
第8章 最新の石田流
この章では、▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩の局面から、
- ▲7四歩△同歩▲4八玉
- ▲7四歩△同歩▲5八玉
- ▲7六飛
の変化について触れています。
第9章 実戦編
久保九段の実戦譜として、
- 島朗九段戦(2手目△3二飛戦法)
- 渡辺明竜王戦(先手石田流VS後手居飛車穴熊)
- 羽生善治王将戦(先手石田流VS後手△6五歩早仕掛け)
- 佐藤康光九段戦(▲7五歩に4手目角交換)
- 谷川浩司九段戦(久保流▲7五飛)
- 渡辺明竜王戦(▲7四歩△同歩▲4八玉)
- 郷田真隆九段戦(7手目▲7六飛)
が簡単に解説されています。
まとめ
『久保の石田流』はこんな人におすすめ
- 石田流全般について学びたい人
- 急戦、乱戦が好きな人
- 久保利明九段の棒金対策が知りたい人
- 後手でも石田流を指してみたい人
一方で、対持久戦については基本的なことしか書かれていないため、石田流本組みにして、対左美濃、対居飛車穴熊について詳しく知りたいという場合は不向きです。
それ以外の石田流については詳しく学べるので、手元に置いてじっくり学びたい一冊になっています。