三間飛車の作戦の中に、石田流や早石田と呼ばれるものがあります。
どちらにも石田という名前がついていますが、何が違うのかよくわからないということがあるかもしれませんね。
そこで、石田流と早石田は何が違うのかを見ていきたいと思います。
石田流とは?
まずは石田流ですが、初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩と進めるものは全て石田流と解釈していいと思います。
石田流の中に、早石田の他、升田式石田流、石田流本組(第1図)、石田流7七角型(第2図)などがあるという感じですね。
第1図(石田流本組)
第2図(石田流7七角型)
どちらかというと、早石田や升田式石田流は急戦の将棋、石田流本組や7七角型は持久戦の将棋になります。
この他にも、鈴木流、久保流、7手目▲7六飛(菅井新手)と呼ばれる指し方もあります。
石田流にはいろいろなバリエーションがあるので、どの作戦が自分に合っているかで得意戦法を見つけてみてもいいかもしれませんね。
早石田とは?
早石田も初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩から始まります。
その後、△8四歩▲7八飛△8五歩▲4八玉△6二銀(第3図)と進みます。
第3図(△6二銀まで)
ここで、▲3八玉なら升田式石田流に進みますが、▲7四歩(第4図)と仕掛ける一連の手順が早石田定跡です。
第4図(▲7四歩まで)
この先の変化を詳しく見てみましょう。
△同歩と取った場合
第4図から△同歩と取ると、以下▲2二角成△同銀▲5五角△7三銀▲7四飛(第5図)と進みます。
第5図(▲7四飛まで)
ここで後手の応手が難しいですが、△7二金のような手は▲2二角成(第6図)と銀を取って先手がいいです。
第6図(▲2二角成まで)
以下△7四銀で飛車は取られますが、桂香を取れるので、3枚替えの先手が有利です。
そのため、後手の応手としては△6四銀や△6四角が考えられます。
△6四銀
第5図から△6四銀にはバッサリ▲同飛と切り、以下△同歩▲同角△7三歩▲7四歩△6二飛▲5三角成△6七飛成(第7図)が進行の一例です。
第7図(△6七飛成まで)
ここからは▲6八銀△8七竜▲7八銀打△8八竜▲7三歩成(第8図)と進めば、難しいながらも先手がわずかにいいようです。
第8図(▲7三歩成まで)
△6四角
第5図で△6四角はガッシリ受けた手で、先手の手も難しいところ。
以下▲7三飛成△5五角▲8二竜△同角▲8四飛△7一金▲8三飛成(第9図)が進行の一例です。
第9図(▲8三飛成まで)
次は▲7二銀が狙いの一手。
後手は△6一角と受けることになりますが、難しいながらも竜を作っている分先手がわずかにいいかもしれません。
△6四角を▲同飛と取るのは、△同銀▲1五角△3三飛(第10図)と進みます。
第10図(△3三飛まで)
以下は▲7七角と引いて互角の形勢です。
ちなみに△6四角を▲同角と取るのは、△同銀▲6六角△7三歩▲8四飛△同飛▲同角△8二飛▲6六角△4五角(第11図)が進行の一例。
第11図(△4五角まで)
この展開は先手の分が悪いです。
△7二金とした場合
第4図からは、△7二金(第12図)と上がるのが最善といわれています。
第12図(△7二金まで)
ここから▲7三歩成△同銀▲7四歩△6四銀(第13図)の展開は、後手の守りが堅く、先手が攻めるのは容易ではありません。
第13図(△6四銀まで)
そのため、△7二金以降は、▲1六歩や▲3八玉など陣形を整備することになりますが、そうなると▲7四歩と仕掛ける手が無意味になってしまいます。
久保新手
▲7四歩と仕掛けるのは△7二金があるので無理といわれる中で飛び出したのが、久保八段(当時)が第34期棋王戦五番勝負第2局で指した新手▲7五飛(第14図)です。
第14図(▲7五飛まで)
この手は次に▲2二角成△同銀▲7七桂として、▲8五飛の飛車交換を狙っています。
第14図からは、△4二玉▲7三歩成△同銀▲2二角成△同銀▲7七桂△3三銀(第15図)といった展開が考えられます。
第15図(△3三銀まで)
後手の7三銀と7二金が厚いので、先手としても容易ではない感じです。
また、第14図で△7四歩と取る手もあります。
以下▲同飛△7三銀▲3四飛△8八角成▲同銀△4二玉(第16図)が進行の一例です。
第16図(△4二玉まで)
△4二玉では、△8六歩▲同歩△4五角もあります。
こちらは激しい変化になります。
形勢は互角といっていいと思います。
まとめ
▲7四歩と仕掛ける早石田は、△7二金と上がられると先手が難しい戦いになる印象です。
乱戦が好きな人にとっては面白い変化かもしれませんね。
早石田は古くからある形ですが、久保新手のような新しい手が今後登場するのかも注目したいところです。